Aiy-yue-kwee’ Nee-kee-chue!
皆さんこんにちは、
亜希ダウニング(aki_downing)です!
カリフォルニア州のネイティブアメリカン”ユロック族”に嫁ぎ
先住民の土地でのびのび楽しく暮らしています!
9月の第四金曜日は ネイティブアメリカン・デー(Native American Day)。
多くの日本人は、聞いたことがない日かもしれません。アメリカで生まれ育ったアメリカ人でも知らない人が多いのが現状。なぜならアメリカの中でも州ごとに扱いが異なり、国全体の祝日でもないからです。
それでも、先住民の人々にとっては大切な意味を持つ日です。アメリカという国の成り立ちを考えるとき、彼らの歴史や文化を抜きに語ることはできません。しかし、現代でも先住民はさまざまな場面で過小評価され、声が届きにくい立場に置かれています。
私はカリフォルニアに住む先住民に嫁いだ日本人として、日々その現実に触れる機会があります。本当にたくさん。皆さんが想像する以上に。だからこそ、まずは「こんな日がある」ということを知ってもらいたいのです。
この記事を読み終えたとき、あなたは「ネイティブアメリカン・デーって何?」と聞かれても、自信を持って説明できるようになります。そして、ただ知識が増えるだけでなく、アメリカという国をより深く理解できる視点を得られるはず。
日々の会話や子育ての中でも役立つ“新しい気づき”につながることを願ってここに書きます。

- 在米セキュリティカウンセラー
- オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
- 岩手県陸前高田市国際姉妹都市サポーター
- 翻訳者・逐次通訳者
- Webライター・Webデザイナー

- 在米セキュリティカウンセラー
- オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
- 岩手県陸前高田市
国際姉妹都市サポーター - 翻訳者・逐次通訳者
- Webライター・Webデザイナー
ネイティブアメリカン・デーとは?意味と由来をわかりやすく解説
ネイティブアメリカン・デー(Native American Day)は、アメリカのいくつかの州で定められた祝日・記念日で、ネイティブアメリカンの歴史・文化・貢献を称える日です。
ただし、州によって「いつ・どこで・どう呼ぶか」は異なります。
各州ごとの呼び名・日付の違い
ネイティブアメリカン・デー(あるいは類似の名称)は、以下のような形で各州において制定・運用されています。
州/地域 | 呼び名・備考 | 日付・曜日 |
---|---|---|
カリフォルニア州・ネバダ州 | Native American Day | 9月第4金曜日 |
サウスダコタ州 | Native Americans’ Day(Columbus Dayを置き換える形で) | 10月第2月曜日 |
ウィスコンシン州 | Native American Day | 10月第2月曜日 |
テネシー州 | American Indian Day | 9月第4月曜日 |
ワシントン州 | Native American Heritage Day | 感謝祭の翌日の金曜日 |
このように、「ネイティブアメリカン・デー」は 一律ではない祝日であり、州ごとの歴史的・政治的背景に応じて「いつ・どう祝うか」が異なっています。
現在、ネイティブアメリカン・デーは州・地方レベルでの祝日/記念日であり、連邦政府が全国一律で制定した祝日ではありません。例えば、連邦の祝日カレンダーにはこの日が入っておらず、州によって休日扱いになるところもあれば、ただの記念日扱いの場合もあります。
ちなみに、10月の第2月曜日にあるコロンブスデーあらため”先住民の日”とは全くの別物の祝日ですのでお間違いのないように!
先住民の日についての記事はこちら↓

この祝日の意義と注意点
- ネイティブアメリカン・デーを制定した州では、先住民族のコミュニティがその州の歴史や文化に果たした役割を「再評価・称える日」として位置づけられています。
- 祝日として運用するには州の事情や政治的思想が絡むため、日付や名称が混在し、「州によって違う」ことで混乱を生じています。
- また、「ネイティブアメリカン・デー」と「先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)」とは目的や歴史的立ち位置が異なる場合が多く、混同しないように正しく理解する必要があります。
アメリカの祝日?州ごとに違うネイティブアメリカン・デー
ネイティブアメリカン・デーはアメリカの「国民の祝日」ではない。ということは理解してもらえたと思います。感謝祭や独立記念日といった連邦レベルの祝日とは違い、アメリカ全体で一斉に休みになるわけではないのです。
そのため多くの地域では、役所や学校、会社は通常通り営業・登校が行われ、生活の中で特に意識することはないと思います。ただし、各州が独自に定めている場合には、記念式典やイベント、教育プログラム、さらにはデモや文化的なパレードが行われています。
ではネイティブアメリカンとのつながりが深い地域ではどうなっているか。
たとえば私が暮らすカリフォルニア北部の町クレセントシティは、現在も複数の部族が暮らしており、地域社会に先住民の文化が根付いています。そのため、この日が地域独自の「祝日」として扱われます。
ネイティブアメリカンが運営している役所や警察署、学校だけでなく、ホテルやレストラン、カフェまでもが休業するのです。
少し面白い話をします。
私の旦那はTribal Policeで警察官として働いています。ここの警察官は半数が先住民です。先住民の彼らは、この日仕事があっても休んでいい権利があります。警察署自体は完全にクローズ。しかしもちろん警察という職業は24時間365日稼働しています。
ではどうするかというと、先住民以外の人種の警察官たちが仕事をし、それでもカバーできないものは周辺のSheriff’s Officeが協力して治安の維持をしてくれます。(周辺のカウンティシェリフとは提携を結んでいる。)
娘は先住民族が主体の保育施設に通っていますので、この日はお休み。
息子は普通の小学校に通っているので通常通り学校はありますが、先住民はこの日は休んでOK!欠席もつきません。(ただし息子は今年学校に行くことを選びました。小学校3年生にもなると、休めて嬉しい!という感情よりも友達と学校で過ごせるほうが優先されるようですね。)
このように、アメリカ全体では馴染みの薄いネイティブアメリカン・デーですが、先住民が多く住む地域にとってはとても重要な意味を持つ日。州や地域の歴史や文化を映し出す鏡のような存在ともいえます。

カリフォルニアで始まった歴史:最初に祝日化された背景
ネイティブアメリカン・デーを公式に制定した最初の州はカリフォルニア州です。
1939年、当時の州知事カルバート・オルソンが10月1日を「インディアン・デー」と宣言し、先住民族をたたえる公式な日が初めて設けられました。これは当時、全米でも画期的な取り組みだったと言われています。
その後、1968年にはロナルド・レーガン州知事(のちの大統領)が9月の第4金曜日を「アメリカン・インディアン・デー」として定め、州をあげて先住民族を称える取り組みが続きます。最終的に1998年、カリフォルニア州議会は「ネイティブアメリカン・デー」を公式な州の祝日とし、公立学校で先住民族の歴史や文化を教育カリキュラムに取り入れることを認めました。
つまり、わずか30年ほど前まで、カリフォルニアの教育現場では先住民について体系的に学ぶ機会がほとんどなかったのです。
実際、私の旦那は義務教育を受けていた当時、「ネイティブアメリカンはもう絶滅した」と本気で信じている同級生が大勢いたといいます。アメリカで育ちながら、身近に先住民が生きていることを知らずに育った子どもたちがそれほど多かったという現実は、今考えると驚いてしまいます。
ネイティブアメリカン・デーが正式に祝日化され、教育現場で教えられるようになったのは、こうした「知られていない」という状況を変えるための大きな一歩だったようです。今日では州全体でイベントや教育活動が行われ、子どもたちも当たり前のように先住民族について学ぶようになっています。
とはいえ、それが「1998年になってやっと」だったという事実は、忘れてはいけない歴史の一面だと私は思います。
ネイティブアメリカン・デーの過ごし方:イベントや学びのアイデア
ネイティブアメリカン・デーは、州や地域によっては公式な祝日として学校や役所が休みになることもありますが、多くの場合は通常通りの平日です。その代わり、学校では特別授業やワークショップが行われ、子どもたちが先住民族の歴史や文化について学ぶ機会があります。
授業の内容は地域や学区によって異なりますが、アメリカ各地の部族の歴史や言語、生活文化を紹介したり、外部からネイティブアメリカンの講師を招いて体験的に学んだりすることもあります。過去に起きた悲しい歴史(土地の奪取や強制移住、大量虐殺といった出来事など)を学ぶと同時に、そこからどのように生き抜き、文化を守り続けてきたかという「たくましさ」や「誇り」に触れる日でもあります。
地域によっては、パウワウ(Powwow)と呼ばれるダンスや音楽の祭典、伝統工芸やアートの展示、料理イベントなどが開かれることも。こうしたイベントは、先住民族の人々の声や文化を「今、ここに生きているもの」として感じられる貴重な機会です。
在米日本人にとって、普段の生活の中で先住民族の文化に触れる場面は多くないと思います。だからこそ、この日をきっかけに一歩近づいてみるのはとても意味のあることだと思うんです。たとえば、お子さんが学校でどんなことを学んだのかを聞いてみたり、地域で行われるイベントに足を運んでみたり。ほんの小さな一歩でも、アメリカという国をより深く理解するきっかけになるはず。
ネイティブアメリカン・デーは、過去の歴史を思い出す日であると同時に、「今を生きる先住民族の人々」を尊重し、未来へとつながる文化を大切にする日。そんな思いを持ちながら過ごせば、この日がきっと特別な意味を持つものになるでしょう。
今これを見ている方の地域にもこうした取り組みがあると嬉しいです。
私たちにできること:先住民文化を知り、尊重するために
ネイティブアメリカンに嫁いだ私から、あなたへ。
この日をきっかけに、まずは自分の住んでいる土地に「どんな先住民族が暮らしていたのか・今現在も暮らしているのか」を調べてみてください。ほんの少し調べるだけでも、住んでいる土地に新しい価値が加わり、普段の暮らしが違って見えるはず。
そこから一歩進んで、博物館や図書館、地域のイベントに参加してみたり、学んだことを家族や友人とシェアしてみたりするのも良いと思います。
ただし、話題にする際には注意が必要。アメリカでは2025年現在政治的な緊張が高まっており、先住民族の歴史や人種問題は人によって受け止め方が大きく異なります。地域や相手によっては触れない方が賢明な場面もありますし、ときには予想もしない反応を受けることもあるでしょう。
私自身、先住民の文化をもっと多くの人に知ってもらいたいという強い思いがあります。しかしそれと同じくらい、いまアメリカで暮らす日本人のみなさんが「安心できる環境」を作り、コミュニティの中で居心地よく過ごせることを願っています。立場や考えが違う人がいても、それを頭ごなしに否定せず、互いに敬意を持ちながら共に生きていくこと。それが、この混沌としたアメリカ社会で私たちができる一番大切なことだと思います。
無理に声を大きくあげる必要はありません。小さな一歩でも、自分なりに先住民族の文化や歴史を尊重する行動を積み重ねていけば十分です。私もそう。SNSやブログで発信することもあれば、家庭の中で子どもに話して聞かせるだけの日もある。そんな小さな積み重ねが、やがては大きな理解や変化につながっていくと信じています。
ネイティブアメリカン・デーは、「先住民族の文化を知り、感謝する日」であると同時に、「私たち一人ひとりが、今のアメリカでどう共に生きていくか」を考える日でもあります。どうかこの日を、あなた自身の生活にそっと重ねてみてほしいんです。

まとめ:ネイティブアメリカン・デーを知ることはアメリカを理解する第一歩
ネイティブアメリカン・デーは、まだまだアメリカ全体で広く知られている祝日ではありません。在米日本人にとっても、「知らなくても困らない日」かもしれません。
けれど、この日を知ることは、アメリカという国をより深く理解するための大切な入り口だと私は思います。
アメリカ社会は、表面だけを見れば多様で自由に見える一方で、その歴史の影には先住民族の声が埋もれてきた事実があります。”表現の自由”も、先住民の前では意味を成しません。先住民族について書かれている絵本が図書館から消えている。そんな地域もあるんです。
いまもなお、差別や偏見と闘いながら、自らの文化やアイデンティティを守り続けている人々がいることを、どうか心に留めてください。
私たち在米日本人にできることは決して大きなことではありません。子どもが学校で学んだことに耳を傾ける。地域で開かれるイベントに少し足を運んでみる。自分の住む土地にどんな部族が暮らしてきたのかを調べてみる。それだけでも、この国の見え方はきっと変わってきます。
そしてもうひとつ大切なのは、互いを尊重し合うこと。先住民族への理解を深めることはもちろんですが、同じ日本人同士、そしてさまざまな文化的背景を持つ人々とも、安心して過ごせる環境を作っていけることを願っています。立場や考え方が違っても、寄り添い合う気持ちを忘れなければ、この複雑なアメリカ社会の中でも生きやすさを見つけられるはずです。
ネイティブアメリカン・デーは「遠い誰かの記念日」ではなく、ここで暮らす私たち自身の未来にも関わる日。
どうかこの日をきっかけに、アメリカの多層的な歴史と文化に心を開いてみてください。それが、あなた自身の人生をより豊かにし、そして先住民族の人々への小さな敬意の一歩になると信じています。
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