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先住民目線で語る、Mrs. Green AppleのMV「コロンブス」問題

Aiy-yue-kwee’ Nee-kee-chue!

皆さんこんにちは、

亜希ダウニング(aki_downing)です!

カリフォルニア州のネイティブアメリカン”ユロック族”に嫁ぎ

先住民の土地でのびのび楽しく暮らしています!

2024年6月12日、1本のミュージックビデオが話題になりました。

Mrs. Green Appleという日本のロックバンドの新曲

「コロンブス」

”アメリカ先住民に対する差別ではないか”との声があがりました。

私もこの件についてTwitterやインスタで自分の意見を投稿。

いくつもの投稿が瞬く間に広がりました。

今日はこの騒動について、先住民に嫁いだ私からお話させてください。

正直、この立場から日本語で語れるのは世界で私しかいないんじゃないかってくらい思ってます。

ただちょっと思った以上に長くなってしまったので、

読んで損はしないけど時間だけは無駄にします!!ごめんなさい!

ではどうぞ!

Presidentオンラインに当記事が引用されました。→こちら
文春オンラインに当記事が引用されました。→こちら

この記事を書いた人
  • 在米セキュリティカウンセラー
  • オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
  • 岩手県陸前高田市国際姉妹都市サポーター
  • 翻訳者・逐次通訳者
  • Webライター・Webデザイナー
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当サイトのすべての記事には著作権があります。メディアや授業等で取り上げる場合、必ず問い合わせフォームから事前に連絡をお願いします。筆者自身の意図と異なる解釈をすることはお控えください。

もくじ

世間の反応について

まず、この炎上から数日で、たくさんのひと、著名人やインフルエンサーさんがこの騒動についてご自身の考えを述べているのを目にしました。Twitter、インスタ、スレッズ、YouTubeとたくさん見ました。

その中でもこのMVへの批判的な意見について。

(私が見た中で)多くの方の反応が

「歴史を知っていたらあれはできない」というものでした。

一見すると、納得できそうな発言に思えますが私はそう感じませんでした。

あのミュージックビデオを見た私の感想は

歴史を知っていないとできないような表現が、サブリミナル効果のように細部にわたって終始埋め込まれていたので、歴史を知っていて”あえて”あの表現をしたとしか考えられなかったからです。

人種的・歴史的なサブテキストが、露骨に飛び込んでくる。

歴史を知らないからではない。

きちんと調べて、それも最近新しく言われ始めた歴史をちゃんと勉強している。

そう受け取れるほどの仕上がりでした。

そうでなかったらこんなすべてが偶然重ならない。宝くじを当てるより難しい。

私はそう感じたのです。

ではどこを見てそう感じたのか解説します。

MVについて

※初めに言っておきますが、ネイティブアメリカンに嫁いだからこそ様々な歴史背景や文化的問題を普段から学んだり自然に耳に入ったりしています。見る人によっては、特にこのアーティストさんのファンの方によっては「こんなの粗探しじゃないか」と思われるかもしれません。「こじつけ」と思ってくれて結構です。想像力豊か過ぎると思ってもらってもいい。でもこの炎上トラブルは私にとってはとても大きな出来事であり、見逃せない内容だったので語らせてほしいです。ブログをぜひ最後まで読んでください。

MVを見て気になったポイントは以下です。

  • タイトルの「コロンブス」
  • 南の島のような地形
  • コロンブスに扮した衣装
  • 類人猿を発見
  • 人力車を引かせていること
  • 類人猿が軍隊の敬礼をしていること
  • ベートーヴェンが音楽を教えていること
  • ナポレオンが乗馬を教えること
  • コロンブスが文字などを教えること
  • ”Monkey Attack”という映画
  • 歌詞の一部と映像の合致
  • バッファローの角をあえて中心に置く
  • コロンブス・卵・ドヤ顔

こんなにある!!笑

ちょっと長くなりそうですが、ひとつずつ解説していきます。

タイトルの「コロンブス」

これはもうほとんど説明も不要なのではないかというくらいですね。

コロンブスは1492年に新大陸(アメリカ大陸)に到達し、これが後のヨーロッパ人によるアメリカ大陸の植民地化と先住民の抑圧の始まりとなりました。その後の歴史において、コロンブスは数多くの先住民に対する侵略や虐待の象徴と見なされるようになりました。※ここでいう”先住民”はアメリカ先住民に限ったことではありません。

この”コロンブス”という名前に拒否反応を示すのはネイティブアメリカンだけではありません。ヨーロッパの国をルーツに持つ人の中では「私の先祖はかつて殺りくを繰り返していた」と真実の歴史を学び、その影響でルーツを否定したり自信が持てなくなったり、うつ症状になってしまうケースもみられたといいます。ネイティブアメリカンだけでなく、多くのアメリカのコミュニティにとって、このタイトルを見て不快な思いをしたり、場合によっては抗議活動を引き起こす可能性があるのです。アメリカの多くの地域でコロンブスデーが廃止になっているのは、なにもネイティブアメリカンだけに向けた配慮ではないからです。

アメリカにいる白人の割合は59.3%。ネイティブアメリカンは0.7%、ハワイアンは0.2%以下。(2021年データ)

アメリカの人口の実に60%を超える人へ向けた配慮といってもいいと思います。

「コロンブス」というタイトルの楽曲を出すことは、まず第一印象として多くの人々にとって(日本人に限らず)警戒心を持たれることは想像がつきます。警戒心をもった人が”まぁでも曲を聴いてみないと分からない”となるのです。そして日本語が分からない外国人にはタイトル→MVの視覚情報の順番でこの楽曲の是非を見極めるのです。

Mrs. Green Appleというグループが世界進出を考えていたかどうかはわかりません。しかし今はTik Tokなどで日本のアーティストの楽曲が突然世界でバズるという現象もたくさんあるのです。だとすると、このタイトルを付けるのであれば細心の注意を払うことが必要だったと思います。

南の島のような地形

MVのはじめに南の島のようなちいさな島の映像が映ります。この島にコロンブス一行がやってきたという設定のようですが、この映像もとても不自然。

というのも、最近語られるようになった正しい史実を知っているのでは?と受け取ったからです。

先ほど”コロンブスは1492年に新大陸(アメリカ大陸)に到達し”と書きましたが、到達したのはアメリカではありません。

同じアメリカ大陸ではありますが、現在のバハマ諸島にあるとされている島(当時はグアナハニと呼ばれていました)に到達したと考えられています。※のちにコロンブスはこの島をスペイン王室の名において「サン・サルバドル」と名付けました。

そしてそのエリアで殺りくを繰り返していたのです。

特によく語られているのが”タイノ族”と”カリブ族”

コロンブスが最初に到達したイスパニョーラ島では、タイノ族が主に生活していました。タイノ族は強制労働に駆り出され、多くが過労や虐待で亡くなったのです。また、反抗する者は容赦なく殺されました。

1492年には約25万人いたタイノ族の人口は、1500年代初頭には数千人にまで激減したというデータもあります。

カリブ族は、小アンティル諸島や南アメリカの北岸に居住していた部族。スペイン人と接触したカリブ族もまた暴力と強制労働に苦しみました。彼らはスペイン人の支配に抵抗し、多くの戦闘が行われましたが、それにより多くの人が殺害されました。また、天然痘・麻疹・インフルエンザなどの疾病に対する免疫がなかったため、疫病によって多くのカリブ族が命を落としたとされています。歴史学者バートランド・ジャコブセンによると、カリブ族の人口は彼らとの接触後、数十年の間に90%以上減少したそうです。

もし、歴史を全く知らないのであれば、

わざわざコロンブスの到達する島を南の島にするでしょうか?

コロンブスに扮した衣装

こちらも同じくそんなに説明しなくてもこの問題点が分かると思います。

のちほどシーン別に説明をしますが、こうしてコロンブスに扮していることによって、

このMVのほぼすべてのシーンが「コロンブスが○○をした」となってしまうのです。

もしこれが、幼稚園児の恰好だったり、サムライだったり、はたまた何かに扮することなくご自身がパジャマを着ているなどであれば、かなり見る側の解釈は変わったと思います。

コロンブスに扮していることが非常にマズかったと思います。

(タイトルが「コロンブス」なんだからっていうのはさておき)

類人猿を発見

①タイトルがコロンブスで→②コロンブスに扮した人が→③南の島に行って

→④出会ったのが類人猿!!!

これでほぼほぼアウト!って感じですかね~。。。

でもここまででまだ曲が始まって20秒足らずなんですよね。。笑

先ほども述べたように、「ただの日本人の青年」+「類人猿」の組み合わせだったらそんなに違和感はなかったんです。でもこの「コロンブス」+「類人猿」の組み合わせはかなり最悪、混ぜるな危険です。

16世紀から19世紀にかけてアメリカ大陸にやって来た入植者たちは、彼らの土地を奪い、文化を破壊し、先住民を人間ではない、野性的で攻撃性の高いものとして描くことが一般的でした。これは、植民地化を正当化し、ネイティブアメリカンを排除するためにとられた手段。

そして”未開人(Uncivilized)”や”野蛮人(Savage)”、さらに人間以下と見なすために動物に例えることもありました。ちなみに「猿」という表現がネイティブアメリカンに対して使用されたかどうかについては不明です。

アメリカ合衆国初代大統領であり、”建国の父”としても知られているジョージ・ワシントンは「Indians and wolves are both beasts of prey, tho’ they differ in shape.(インディアンとオオカミは、形こそ違えど、どちらも猛獣である)」という言葉を残しています。

しかしアフリカ系アメリカ人に対して”猿(Monkey or Black Monkey)”や”類人猿(Ape)”といった侮蔑的な表現が多用され、そしてアジア人に対しても同様の表現をすることはご存じだと思います。

さらにマズかったのは、この類人猿が濃淡のある色で複数構成されていたこと。

そして追い打ちをかけるようにマズい組み合わせが続くのです。。。

人力車を引かせていること

あろうことか、一番色の黒い類人猿が人力車を引いている。

これだけ色んな種類の類人猿がいたのに!なぜそれをチョイスしたんだ!!

もう世界的に類人猿を出すときはとてつもない配慮が求められる時代。しかもこの人力車を引くシーンは何度も登場するのだけど、いつも同じ一番色の黒い類人猿がその役を担っている。

そこは持ち回りにしてくれよぉっ!!と思わずにはいられない。

ベートーヴェンが音楽を教えていること

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、アメリカ政府とキリスト教団体はネイティブアメリカンの子供たちを”文明化”するために多くの寄宿学校を設立しました。そこで西洋の音楽教育が一部のネイティブアメリカンに対して行われたことが知られています。以下はその代表ともいえる例です。

ペンシルバニア州にあるカール・アイスマン・インディアン・スクールでは、音楽教育がカリキュラムの一部として含まれており、学生たちはピアノやバイオリンなどの楽器を学びました。モンタナ州のセント・ラブレンス・インディアン・スクールでも音楽教育が行われており、学生たちはピアノを学ぶ機会がありました。

これらの教育は、その土地の部族の伝統的な音楽や文化が抑圧される一因にもなりました。寄宿学校の政策は、ネイティブアメリカンの文化的アイデンティティを抹消しようとする試みとして始まったもの。もちろん音楽教育を通じた文化的交流の側面もありますが、同時にその教育はネイティブアメリカンの文化に対して破壊的な影響を与えたのです。

”白人が類人猿に音楽を教える構図”は、一見なんてことないシーンにも思えるのですが、こうした背景を知ると少し見方が変わってくると思いませんか?

寄宿学校が建てられた時のスローガン、知っているでしょうか?

Kill the Indian, Save the Man(インディアンを殺し、人間を救え

カナダの最後の寄宿学校が閉校したのは1996年。アメリカの寄宿学校は1934年に一度廃止されるはずでしたが政府が継続を決断。2000年まで続いていたのです。

このスローガンを掲げる学校が、たった24年前まで存在していたんです。

先住民への差別が過去のものでないことが分かって頂けましたか?

ナポレオンが乗馬を教えること

スペイン人入植者の影響で、ネイティブアメリカンは乗馬を覚えたんです!

MVでもうそれ露骨に表現してますや~ん!!ってなもんです。

馬は、ヨーロッパからアメリカ大陸に持ち込まれた動物。もともとアメリカ大陸には野生の馬は存在していませんでしたが、スペイン人探検家や入植者が16世紀初頭に馬を持ち込みました。ネイティブアメリカンは、スペイン人やその他のヨーロッパ人から乗馬技術を学びました。特にスペイン人が用いた馬具や乗馬技術が彼らの生活に影響を与えたと言われています。

ラコタ族、シャイアン族、コマンチ族などの平原部族は、馬を使った狩猟(特にバッファロー狩り)や戦闘において優れた技術を発展させることとなります。これにより、彼らの生活や経済、文化が大きく変化し、馬はなくてはならない存在となったのです。※このバッファローについてまた解説します。

そしてこのナポレオンという男。

ネイティブアメリカンとは間接的に接点があり、多大な影響を与えているのです。

ナポレオンがフランスの第一統領だった時期、フランスはルイジアナ植民地を手に入れました。この広大な土地はミシシッピ川からロッキー山脈に至るまで広がっていました。しかしこの広大な地域の管理はとても難しく、資金が必要だったため、ナポレオンはアメリカにルイジアナを売却することを決定します。

1803年、アメリカはフランスからルイジアナを購入しました。これがアメリカ史「ルイジアナ買収」です。

ルイジアナ買収によって、アメリカ合衆国の領土は一気に倍増します。しかし、この土地の大部分はネイティブアメリカンが居住している地域。アメリカ政府は西部への移住や開拓を進めるため、彼らの土地を奪います。多くのネイティブアメリカンの部族はアメリカ政府から条約を提示され、いくつもの戦闘を経て、最終的には強制移住を余儀なくされました。

ネイティブアメリカンの歴史を語るのに忘れてはいけない

  • 涙の道(Trail of Tears)
  • ニューメキシコ強制移住(Long Walk of the Navajo)
  • ダコタ族の強制移住(Dakota Exile)

これらの強制移動が起きたのはナポレオンの影響があるのです。

さて皆さん、ここまでの接点を見て、あのMVが本当に”偶然の産物”だったと言えるのでしょうか?相当歴史を勉強しているな、という気になってきませんか?それとも私がとっても想像力が豊かなのでしょうか。

まだまだ奇跡の偶然は続きます。

軍隊の敬礼をさせている

軍隊式敬礼自体は、多くの国や文脈で尊敬の意を示すための正当な行為と見なされています。

しかし、それを使用するには状況に応じた配慮が非常に!非常に大事になってきます。特に、歴史的背景や文化的な感受性に対する理解が欠如している場合、不適切な使用は誤解や批判を招く可能性があるのです。

2023年の12月、THE RAMPAGEというグループの新曲で、ナチスを連想させる黒いコートの衣装を身にまとい、右手を斜め前方に掲げる“ナチス式敬礼”と思われる振り付けをし、さらに歌詞にもそれを連想させるものがあったことで「軍国主義的」などと批判されたのは記憶に新しいと思います。

このように、エンターテイメントやパフォーマンスで不適切に使用すると、見ている人に不快感を与えたり批判を招いたりすることがあります。

今回のMVでも、ナポレオンに向かって類人猿が軍隊式敬礼をしていますよね。植民地時代や奴隷制度の歴史を背景に持つ地域では、このようなシーンが敏感に受け取られる可能性があることを考慮する必要があったのでは?と思っています。

コロンブスが文字などを教えること

コロンブスが類人猿に文字を教えるという描写、多くの議論を呼ぶ可能性は考えなかったのでしょうか!もちろんコロンブス本人が実際に先住民に文字を教えたという文献はありません。しかし、一般論として”コロンブス=入植者”と捉えられてしまうことは簡単に想像できます。

類人猿に対して教育や文化的な知識を持ち込むという表現は、植民地主義的なアプローチと見られてしまっても仕方がないのです。

さらに机の上には船の模型・望遠鏡・地球儀などがあり、類人猿がそれをもの珍しそうに手に取っている。この小道具は大航海時代のイメージで必ず使われるもの。この時代にネイティブアメリカンがどんな目にあっていたかはさすがに世界史でやりますよね?(ですよね?自信ないけど。)

”Monkey Attack”という映画

私が一番ゾッとしたのがこの映画なんです。

MVの中盤でこの題材の映画を見るのですが、そこには2匹の類人猿が出てきます。(単位って匹なのか?)これが本当にね、、、意味を知ると恐ろしいですよ。。

2匹の類人猿のうち1匹は負傷していて倒れている。その類人猿を抱きかかえるもう1匹の類人猿。これ、負傷した類人猿は白いハチマキを、抱きかかえる類人猿は赤いハチマキをしているんです。

もう気づいた方もいますね。

白いハチマキ=白人、赤いハチマキ=ネイティブアメリカン

もうこの色分けはアメリカでは定番中の定番。

しかも白いハチマキをしているのは少し白い類人猿、赤いハチマキをしているのは茶色の類人猿なんです。

いやいや!!

それはさすがに!さすがにこじつけだよ!!

だってもし差別したいなら赤いハチマキの類人猿を負傷させるでしょう!!

ええ、私もそう思いましたよ!

でもね、これ、この映画を見ているときに流れてくる歌詞をよく聞いてみたら。びっくり。

全部合致しちゃったんですよ。

歌詞の一部と映像の合致

この”Monkey Attack”という映画鑑賞中に流れてくる歌詞がこちら

あなたとの相違は
私である為の呪いで
卑屈は絶えないが
そんな自分を
本当は嫌えない
あぁ 愛すべき名誉の負傷が
盛大に祝われる微妙が
大切な様な

この映画を観ながら涙を流すコロンブス。

ケガをしているのは白いハチマキの白い類人猿。

そして”愛すべき名誉の負傷”という歌詞。

ちょっとポップミュージック特有の歌詞表現なので意味はところどころわかりませんが、

卑屈さのある自分は嫌いじゃないし、先住民との闘いで受けた名誉の負傷は愛しいとも思うし、盛大に祝ってくれ By コロンブス

ってこと?

負傷した白い類人猿の映像+名誉の負傷+それを歌うコロンブス=混ぜるな危険では?

この辺までくるとですね(あれ私、偏見の目で見てるからそう考えちゃうだけかしら?)なんて考えちゃったりして、もう自分が一番やべえだろって思ってます。はい。自覚はあります。

ちなみに他の方が指摘していた歌詞

文明の進化も
歴代の大逆転も
地底の果てで聞こえる
コロンブスの高揚

この部分については”コロンブス”という名前は出ているものの、意味を考えたら『地の果てまで落ちたコロンブス』という皮肉にも見えたので、ここに関してはどちらかというとポジティブな印象を受けました。

だからこそ、MVさえ別の表現にしていれば、、、

かえっていい歌だったのでは?と思わずにはいられません。

追記(6/17/24):「歌詞を良く見て」とのご指摘を頂くのですが、冒頭の方で述べたように日本語の分からない外国人は視覚情報が先にきます。日本人も有名な洋楽の歌詞を意味までしっかり調べる人の方が少ないはず。”意味は分からないけど有名だから歌える”という洋楽たくさんありませんか?(マイケルジャクソンのビリージーンとかほんとどういう歌なん?ってなるけどみんな知ってるでしょw)
気持ちはすごく理解できるのですが、このMVが世にでる=視覚優位な方へ届けることになるということ。歌詞は最後の最後です。

あえて中心に置かれたバッファローの角

バッファローまずいってぇ~。

バッファローは多くのネイティブアメリカンにとって神聖な象徴で、特定の部族の文化や宗教的儀式に大きく関連してくるもの。しかしそれだけではありません。

19世紀のネイティブアメリカンの生活・文化・経済に深刻な打撃を与えた歴史的大事件は、このバッファローと深くかかわりがあるのです。

バッファロー(アメリカバイソン)は、特に大平原地帯に住むネイティブアメリカンの部族にとって非常に重要な動物。肉は主要な食料に、皮は衣装やティーピー(移動式住居)に、骨や角は道具や武器の材料として使われていました。

1860年代から1880年代にかけて、バッファローが大量に虐殺されます。鉄道会社とアメリカ政府によってです。これは「バッファローの大量虐殺(Buffalo Slaughter)」「バッファローの大量絶滅(Buffalo Extermination)」として今でも語られています。

鉄道建設会社はバッファローが列車に衝突するのを防ぐのが目的。また乗客にスポーツ狩猟としてバッファロー狩りを奨励し、列車から射撃するというイベントも行いました。そしてアメリカ政府はネイティブアメリカンの生活基盤を奪い、指定の居留地に強制的に移動させることが目的でバッファローを絶滅寸前まで殺しました。バッファローの皮は東部やヨーロッパで高値で取引されていたと言われています。

バッファローの消滅により、ネイティブアメリカンは食料、衣服、住居を失い、生存が困難に。多くのネイティブアメリカンが飢餓や栄養失調で死亡しました。さらに生活の基盤を失ったことで文化や伝統が瞬く間に崩壊したのです。

1800年代初頭に数千万頭いたとされるバッファローは、19世紀末には数百頭にまで減少しました。

バッファローの大量虐殺は、アメリカ史における植民地主義とネイティブアメリカンに対する不正義を象徴する出来事として認識されています。

さらに!!

これを逆手にとった嫌がらせ、日本でも連日ニュースになってたのご存じない?

2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件です!

2021年1月6日にアメリカ合衆国議会議事堂に侵入した人物の一人で、極右陰謀論Qアノンの熱烈な信奉者、ジェイコブ・チャンスリー。「バッファロー男」として一躍有名になりました。

頭にバッファローの角をつけたヘッドドレスと顔にはペイント。ネイティブアメリカンの文化や信仰を軽視し、侮辱する行為と非難の声も上がりました。さらに彼の格好は、ネイティブアメリカンに関する誤ったステレオタイプやロマンチック化を助長するもので、これにより彼らの実際の文化や歴史が歪められる恐れがあると多くの指摘を受けました。

議事堂侵入事件は、アメリカの政治的混乱と暴力を象徴する大事件。彼の装いと行動はネイティブアメリカンのシンボルと結びつけています。このように今後も政治利用されるリスクがあるのです。多くのネイティブアメリカンの団体や代表者は、彼の行動に対して強い非難を表明。この行動が文化の盗用であり、彼の行動がネイティブアメリカンの文化や信仰を歪めるものであると指摘しました。

バッファローはいま非常に取り扱い注意な小道具。しかも端っこにちょこんとあるならまだしも、コロンブスが座る真後ろ、部屋の中心にどーーーん。

本当に?本当にこれ無知でできる??絶対知ってなかった?

ーーーーーーーーーー

さて、”ネイティブアメリカンの嫁の立場”から私が感じた違和感はざっとこの辺なんですが、他の描写でも指摘している方はたくさんいました。しかし私はこの立場と自分の持つ知識からしか語れないので、それについて言及するのは違うかなーと思います。

私の感じた違和感は以上です。

みなさんはどう感じましたか?

謝罪について

MVが物議を醸してから、数時間で動画は削除されました。

その後ご本人から(事務所から?)MVについて公式に謝罪がされたのです。

私が少し気になったのはこちら。

差別的な表現に見えてしまう懸念はあった。

百歩譲って類人猿の登場だけではそんなに気にならなかった。

スタッフと確認し合い

そう。これだけ巧みに演出や小道具を盛り込んだのだから、絶対にアーティストさんだけの独自の判断でできるはずがない。あえてやっているとしか思えないんです。私は。MVのメイキング映像があるならそれを公開してほしいと思っている。映像があればこれが”故意に差別的表現をしていない”という証拠になる。

上記のキーワードが意図と異なる形で線で繋がった

逆にどんな意図で繋げたのか。1つ1つの歴史的大事件は、点のように見えてすべてが線でつながっている。もしかしたら、コロンブスの偉業(?)をいくつも集めたのかな。でも彼の偉業(?)こそ、集めるとそれがどんな効果を発揮するか、、、ここを考える人はいなかったのか。

「コロンブスの卵」というキーワードから制作

それであればなぜあそこまで大きく広げてしまったのか!!!私はこのMVに出ていたコロンブスの卵の描写のところには一切不快感を感じなかった!なぜならコロンブスの卵とネイティブアメリカンは直接的なつながりはないから。コロンブスの卵がキーワードであのMVが出来上がるってどういうマジックなのだろうか。

スタッフの中に、ものすごいコロンブスについて勉強した人がいたのかな。

「コロンブスについて徹底的に調べたけど、それは入植者目線のもの、偉業としてのカッコいい部分だけを取り入れてしまったためにこのような作品になってしまった。支配された側のことは考えなかった。これが差別だと知らなかった」と言ってくれたほうがまだ納得できた!

私も分かってる。日本人が入植者側の目線でしかアメリカ史を知らないこと。いや、日本人だけじゃない。歴史は常に勝者側から語られるものだから。

ネイティブアメリカンについての正しい資料が日本語で探しにくい!インターネットで気軽に調べられるくらいにならないと!と思って私のこのブログや発信活動は始まっている。知らないことは責められない。

私だってアフリカンアメリカンの歴史は全然分からないことだらけ。

なので、謝罪の一部の文言には疑問が残るけど、

ああまだまだ私はやるべきことがあるんだな!と前向きに考えて、これからはより範囲を広げて発信活動していこうと思う!

コカ・コーラについて

今回一番マズい対応したのコカ・コーラじゃないですかね。

  • いかなる差別も容認しておりません
  • これは、我々が大切にしている価値とは異なるものです
  • 本楽曲を使用したすべての広告素材の放映を停止させていただきました。また、ミュージックビデオの内容に関しては、弊社は事前に把握をしておりません

どこ切り取ってもマズいでしょう。アーティストさんにすべての責任を押し付けたんですね。

本社アメリカのコカ・コーラ社は、過去にメキシコ先住民への差別的なCMを作って炎上しています。さらに「”コミュニティー間の団結と喜び”を表現したかった。メッセージが誤解されたことは非常に残念。私たちの意図は、批判とは正反対のものだった」という意味わからん声明を出していたので、

コカ・コーラらしいといえばらしいですね。

まとめ

めっちゃ長くなって本当にすいません。

ここまで読んだ人いるのかしら。。笑

これを機に、アメリカに過去どんな民族がいたのか、どんな争いがあったのか、ぜひ考えて、調べて、学んで、今抱えている問題に向き合ってみてください。アメリカ建国前の歴史はとても長いです。

そしてアメリカ本土・ハワイ・アラスカ・カナダなどはまだ先住民の問題がたくさん残されています。そちらについてもたくさんの人に知ってもらえるよう、私も楽しんで学ぼうと思います。

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