【感謝祭の本当の起源】ネイティブアメリカンの悲しい真実の物語とは

今日は少しだけセンシティブな話をします。

アメリカで１１月といえば大きなイベントがありますよね。そう、サンクスギビングです。

アメリカの行事の話をする時、常に２つの立場から語る必要があります。

”侵略した側”と”侵略された側”

ネイティブアメリカンとサンクスギビングの関係についてお話していこうと思います。

感謝祭の歴史は間違いだらけ？

まず、とってもざっくりと、一般的に世間で言われているサンクスギビングの説明をしますね。

１１月の第４木曜日、アメリカ全土から家族が大集合し、みんなでゆっくり食事をします。ディナーの主役はターキー。そして一般的な祝日とは違い、この日はほとんどのお店も閉店しています。（ざっくりしすぎ？ｗ）

では「感謝祭の起源」を知っていますか？

なぜこのイベントが行われるようになったのか、正確に”説明できるでしょうか？

多くの方が、このような歴史を教わっていると思います。

1620年頃、ピルグリムが宗教的自由を求めてマサチューセッツ州にやって来ます。アメリカでは極寒の冬を迎えたばかりで多くの死者を出してしまいます。春を迎える頃、先住民ワンパノアグ族から作物の栽培方法や、釣りの知識を教えてもらいました。そしてその年の秋、多くの作物が収穫できるようになったのです。秋に大きな収穫を得たことに感謝したピルグリムは助けてくれたワンパノア族を招いて、収穫の恵みに対する感謝の宴会を開きました。これが現在の感謝祭の始まりとされています。

多くの日本人がこの話を真実だと思っているはずです。しかし、これはあくまでヨーロッパ人が作り上げた物語。。全くのウソなのです。これが反対の”侵略された側”からみると、まるで違ったものが見えてくるのです。

とても残念なことに、感謝祭の歴史は過去を遡っても”片方の側面のみ”を家庭や学校では教育します。アメリカに住むほとんどの人が”侵略された側”からみた歴史を知らないのです。

実際のお話は、とてもおぞましい、悲しい真実なのです、、、

感謝祭の真実の物語

１６２０年９月。

イギリスのプリマスを出発したメイフラワー号には、自由に宗教を信仰できる場所を求める宗教分離者や、新大陸での繁栄とそこでの領土を確保したいと願う人々など、１０２人の乗客が乗っていました。

メイフラワー号は６６日間に及ぶ危険な航海を経て、目的地であるハドソン川河口のはるか北に位置するケープコッドの先端近くに到着。そこから１ヶ月後、マサチューセッツ湾を渡り、プリマスに村を作る作業を始めました。

やがてプリマスには厳しい冬が訪れます。。入植者の大半がイギリスの都会の出身であり、荒野で暮らす術を知りませんでした。さらに彼らの多くは森を恐れており、狩猟の腕もなかったと言います。

そして入植者のほとんどは冬のあいだ船上に留まり、壊血病、伝染病の発生に苦しむこととなるのです。

メイフラワー号の乗客と乗組員のうち、最初の春を迎えることができたのは半分だけ。

３月になって陸に上がった入植者たち。

そこでネイティブアメリカン”ワンパノアグ族”のスクワントと出会います。

スクワントは栄養失調や病気で弱っていた入植者たちに、トウモロコシの栽培方法、カエデの樹液の取り方、川での魚の捕り方、毒のある植物の避け方などを教えました。

１６２１年１１月。

入植者たちが初めてトウモロコシを収穫して成功を収めた後、総督のウィリアム・ブラッドフォードは３日間の祝宴を開きます。その宴の最中に鳴らされた銃声を聞いて、ワンパノアグ族は”戦争の合図”だと勘違いしその祝宴に現れます。

両者の話し合いの後、ワンパノアグ族の一部が３日間一緒に祝宴に参加することに。ワンパノアグ族にとっては大切な”Fasting（断食）”の期間でもありましたが、入植者たちと友好な関係を築こうと参加したといわれています。

その祝宴からまもなくして入植者は自分たちを救ってくれたワンパノアグ族の土地を奪い、女性や子供を奴隷としてヨーロッパに送り込みます。帰路に着く際には奴隷をマストに縛りつけて生きたまま犬の餌に。そしてそれに抗議した酋長を毒殺しました。

次の酋長が土地と民族を奪還しようと戦いを挑んだ際に

ワンパノアグ族を壊滅状態にしたのです。

戦いに勝利した入植者は酋長の頭を槍の上に刺し、見せしめとしてワンパノアグ族の領土に飾ります。このときに惨殺されたネイティブアメリカンは、共に戦いを挑んだ他の部族も含めて４０００人以上と言われています。

この出来事からさらに数年、、、１６３７年。

入植者たちはコネチカット州東部一帯に居住していた”ピクォート族”の土地に入ります。

ピクォート族の人口は元々は約８，０００人とされていますが、ヨーロッパから持ち込まれた疫病によりほとんどが命を奪われました。奴隷として連れ去られる者もいれば、女性と女児は性奴隷にされ、殺害されることもありました。

そしてこの年、入植者によって７００人以上のピクォート族が虐殺されます。

入植者たちはこのピクォート族の大量虐殺とこの地の征服を祝う宴を行いました。

そしてその祝宴の最中に

と宣言したのです。この時、すでにピクォート族の生き残りはほとんどいませんでした。

これが、本当の感謝祭の起源です。

このピクォート族の虐殺と土地を奪ったことを讃える１６３７年の宴が最初の感謝祭であると、後に公式に決定がされます。

いかがだったでしょうか？

最初に少し説明した感謝祭とは、全く違う物語を聞かされた気分になりませんか？

１６２１年に行われた”感謝祭”とワンパノアグ族。

１６３７年に行われた”感謝祭”とピクォート族。

アメリカの”感謝祭”の歴史を語るのに、この２つの部族と入植者との関係は無視できないのです。

感謝祭の歴史の光と影

今まで語り継がれてきたヨーロッパ人目線の”名誉”と”栄光”。入植者とアメリカ先住民とのハートウォーミングな物語。それらがすべて”偽りの神話”であると分かって頂けましたか？

入植者が行ったネイティブアメリカンに対する極悪非道な行為をなくして、アメリカの感謝祭は語れないのです。疫病や虐殺で多くのネイティブアメリカンを絶滅の危機に追いやった事実を、ポジティブな神話を賛美して”無かったこと”にしてはいけないのです。

アメリカの学校教育でこの真実に言及する人はほとんどいません。それどころか、現在に至るまで、多くの教員がこの事実を誤認しています。アメリカで生まれ、アメリカに住む多くの人が「いつまでも過去のことにこだわっている」「さっさと忘れて前に進め」「努力もせずに怠けているから変わらない」と、ネイティブアメリカンに対していいます。

彼らは残酷な歴史を知らないのです。

アメリカの教科書で、感謝祭のこの真実の物語が初めて載ったのはいつか知っていますか？

２０２０年です！それもオクラホマ州の教科書のみ！！

それもほんの一部だけが小さく載っているのです。信じられないですよね。。。

これについては多くのネイティブアメリカンが今も絶えず訴えを続けています。もちろんカリフォルニア州のユロック族でも。私もこのようにブログを書いたりインスタグラムを通して日本のみなさんに真実を伝えています！！

１１月はネイティブアメリカンにとってとても大切な月。”Native American Heritage Month”

そしてブラックフライデーと言われる日、１１月の第４木曜日の翌日は”Native American Heritage Day”

みなさんはこの大切な月間について聞いたことはありましたか？アメリカ国内のニュース、ソーシャルメディアではこれについても毎年ほとんど報道されません。

＼Native American Heritage Monthについて／

ネイティブアメリカンは感謝祭を祝うのか？

もちろん今では多くのネイティブアメリカンも感謝祭を楽しみます！純粋に”家族と美味しい料理を楽しむ日”として祝うのです。しかし、それも人それぞれ。

ワンパノアグ族と同じようにFasting週間として過ごす人。美味しいディナーを前に、先祖に祈りを捧げる人。そもそも感謝祭を祝うことをしない人。部族によって、個人によって、それぞれ自分の過ごしたいようにしています。

私の旦那側の家族も、年に数回ある家族行事として感謝祭を楽しみます！

しかし実を言うと、私の旦那自身は”ヨーロッパ人が作ったイベント”に積極的ではありません。おそらく理由は祖父母に育てられたから。祖父母の時代はまだまだネイティブアメリカンの迫害があった時代。

家族や友達が突然この世からいなくなることも当たり前にありました。

そんな時代を生きた祖父母に育てられた旦那は、、、やはりこういったイベントには複雑な思いがあるようです。

息子にアメリカのひとつの行事として楽しんで貰いたいと思う反面、歴史の背景を知るものとして、きっと私なんかには想像もできない程の葛藤があるのでしょう。私も、強要することはありません。

それが我が家の感謝祭の過ごし方なのです。

まとめ

ネイティブアメリカンは入植者を”客人”としてもてなし、入植者はネイティブアメリカンを”野蛮人”として虐殺する。アメリカの歴史やイベントを語る時には、常に２つの立場になって考えてみてください。

イベントの起源の【真実の歴史】を知ってください。

きっとそこには暗く、悲しい、勇敢なネイティブアメリカンの戦いがあるはずです。